声優のアイドル売りに関する考察

※今回の内容は非常に長いです、2467文字あります。心して読んで下さい

1.序論

最近「アイドル声優」という単語がよく聞かれる。声優をアイドルとして売るという傾向が強くなってきたのだ。今回の記事では、「なぜ、声優はアイドルとして売られる様になったのか?」「声優のアイドル売りはいいのか、悪いのか」を考察することにする。

まず、椎名へきるという声優を知っているだろうか?元祖アイドル声優であり、声優で一番初めに日本武道館に立ったことで有名である。ファンクラブを設立、シングルは44枚(2016年12月25日現在)アルバムは16枚を出しており、定義を決めるわけではないが十分である。ここから声優の枠を飛び越えて、「声優アーティスト」→「アイドル声優」へと発展していくのである。

2.「やまとなでしこ」の時代

やまとなでしことは、1999年ドリカン[1]のパーソナリティ「堀江由衣」「田村ゆかり」によって結成されたユニットである。2000年代前半には、「To Heart」のマルチ役、「ラブひな」の成瀬川なる役で堀江由衣が知名度を上げ、「魔法少女リリカルなのは」の高町なのは役で田村ゆかりが知名度を上げた。この二人がアイドル声優として、一時期覇権を握っていくのである。

この二人(正直田村ゆかりさんのほうが顕著ではあるが)には

・声優としての活動

・写真集・俳優業などの「ビジュアルを売りにした」仕事

・ラジオパーソナリティとしての仕事(ex.堀江由衣の天使のたまご,田村ゆかりのいたずら黒うさぎ)

の3つの軸となる仕事があったことが考えられる。これがアイドル売りの一歩になる。

「声優グランプリ(1994年創刊)」「声優アニメディア(2004年創刊)」など、声優雑誌の歴史は意外に古いことを考えると、「声の演技で勝負をする人たち」が「ビジュアルを気にする時代」になってきたのである。

2006年7月23日には、アイマスの1stライブが行われる。「声優」が「作品のアイドル」としてステージに立つ時代になってきたのもこのときからである。

このライブで見えてくるのは、メディアミックス作品の延長線を伸ばすために、声優としての能力が本来の声を使って演じる目的以上に必要になっている。 ということである。これについては次章で詳しく解説する。

3.アイドルアニメ戦国時代

先程も述べたが、メディアミックス作品の延長線を伸ばす時代でないと生き残れない時代である。しかし、アイドルアニメが乱立していて何が何だか分からないという人も多いのではないか。「ラブライブ!とWake Up Girls!」を完璧に区別できている人がどれだけいるだろうか?

・ラブライブ!は、9人が国立音ノ木坂学院の廃校を救うために、スクールアイドル「μ’s」を結成して廃校の危機を阻止しよう!というアニメ。

・Wake Up Girlsは東北を舞台に、7人のアイドルがアイドル戦国時代の荒波を乗り越えていく物語である。

作品ごとに運営が違い、作品ごとに声優が違い、作品ごとにファンが違い、作品ごとにファンが運営に求めるものも違う。ファンも作品の一部である。

4.最近の声優界とアイドル

大手事務所である「ホリプロ」が2011年のホリプロスカウトキャラバンで募集したのは「声優アーティスト」であった。2008年の「マクロスF」のシェリル・ノームの歌唱を担当したMay’nが海外を股にかける活躍をしたことから、新たに声優アーティストを募集しようという試みである。このオーディションで田所あずさ、大橋彩香、Machico、木戸衣吹、山崎エリイなどを輩出、声優界で存在感を発揮している。

また、いつの時代もアイドルがアイドルとして輝ける時間は非常に短い。しかし、48グループを卒業したあと、声優界で活躍する佐藤亜美菜、秦佐和子、仲谷明香などもいる。アイドルとして輝き、また声優としても活躍している姿を見ていると応援したくなってくるものである。

声優が写真集を出すことも増えてきている。アニメイトなどに行くと、本棚ひとつが写真集であることが普通になっている。中には水着写真集を出す声優や、イメージDVDを出す声優も増えている。ここまで来ると完全にアイドルとやっていることは変わらないが、多様化するメディアと共に、声優も多様化を迫られる時代である。ということを証明するいい例ではないか。

また、81プロデュースという声優事務所はSUPER☆GiRLSなどの多くのアイドルを輩出しているエイベックスと組み、「アニソン・ヴォーカルオーディション」を実施。I☆Risや先ほどのWake up Girlsを輩出している。また、I☆Risはデビューしたての際は握手会を行うことや、アイドルの祭典であるTokyo Idol Festivalなどにも参加しており、アイドルとしての売り方が色濃く反映されているようにも見える。しかし、i☆Risは日本武道館でのライブを成功させているし、声優としても芹澤優などをはじめ、様々なアニメで活躍している。

ライブの「コール」という文化は、アイドルライブから輸入されたものであるが、地上のライブでは比較的穏やかなコールを入れることが多く、MIX、ヲタ芸などのコールを入れる現場は少ないが、i☆Risなど、アイドルオタクが流れ込みやすい現場もあるなど、事前調査が必須となっていることもある。

5.考察

ここまで、様々な角度についてアイドル声優について触れてきたが、個人の考えでは「アイドル声優はメディアミックスの発展と共に、声優界で生き延びていくために声優として求められているものが増えている結果、様々な一流技術を取得することが声優の必須スキルとなっているため生まれた」ということである。人の前に出てアーティスト活動(ソロアーティストでもアイドルアニメのキャラソンだったとしても)を行う事が増えると、やはり見た目もいい作品に人が集まることはありえることである。また、作品から声優を知るというだけではなく、声優から作品を知ることもある。バンドリを例にすると、筆者の好きな声優の1人である大橋彩香さんが出演していることから作品を知って、作品のファンになったということもある。「この人かわいいな」と思ってくれる声優を発掘することで起用して貰えることもある。ファンの前に出ることが当たり前になったのが今の声優業界であり、そのための最適解として、アイドル売りをすることを選んだ事務所が多いのである。

好きになった声優がいて、その人がアイドル売りをされていても、自分の好きになった声優を追うことは推奨されるべきである。声優はアイドル売りをされるべきではないとは思えない。その人のために最適解を導いてあげるが、事務所のプロデュースであるからだ。